Act.1

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「あんたが聖騎士レオンハルトだろ?」
 元気だが無礼なその声に呼びかけられて振り向いたレオンハルトは、その声の主の出で立ちに驚いてしばし言葉を失った。えんじ色の制服を着た十代後半とも思える青年が、それこそ無礼で尊大な態度で腕を組み、自分を見上げているのだから。
 えんじ色の制服の袖には、双頭の鷲の紋章が刺繍されている。アジェンタス騎士団員のひとりだろうが、大学を卒業してすぐ入団したにしてはずいぶんと幼く見えるし、それにここはアジェンタス騎士団領から遠く離れた〈光都〉オレリア・ルアーノの聖救世使教会なのだ。なぜ一般の騎士がブラブラとこんなところを歩いていられるのか、レオンハルトはしばし頭を巡らせた。
「そうだが、私になにか?」
 困惑を見せないように答えたレオンハルトに対して、青年はいたずらっぽく笑った。アイスブルーの瞳が糸のように細くなると、その顔が余計に幼く見えた。
 青年は耳にかかるくらいの長さの金髪を掻き上げたあと、レオンハルトに向かってぶしつけに指を突きつけた。
「明日の御前試合、あんたと当たるの楽しみにしてるからな!」
 それだけ言うと青年は満足したようにくるりと背を向け、廊下を早歩きで歩いていった。レオンハルトはその背に言葉をかけることもできずに見送っていたのだが、そこでやっと明日の自分の予定を思い出したのだった。
 そういえば、明日は聖救世使教会主催の公開試合があるのだったな。
 聖騎士団の日頃の活動の発表と一般人との親睦のために、およそ五十年ほど前から年に一度、聖救世使教会の中庭で行われている公開試合だった。聖騎士同士、あるいは聖騎士と各国の騎士団の騎士が祭司長の前で剣で斬り結ぶことから、いつしか「御前試合」などと呼ばれるようになったものだが、あの青年はアジェンタス騎士団から今日の試合のために派遣されてきた者のひとりなのだろう。そして今年は、レオンハルトも出場することになっていたのだった。彼自身、こうした祭り騒ぎや式典は苦手であったため、すっかり忘れていた。
 レオンハルトは青年の後ろ姿を見送ったあと歩き出そうとしたのだったが、廊下の角を曲がったところで、青年が同じくえんじ色をしたアジェンタスの制服を着ている仲間に腕を引っ張られていたのを見て足を止めた。そしてそのすぐあとに聞こえた言葉がこれだ。
「ダノルーッ! すげーなお前! ホントにレオンハルトに宣戦布告してくるなんてよぉ!! ただのバカかと思ったけど、お前、男があがったぜ!!」
「ああ、まあな。聖賢五大守護神《ファイブ・ガーディアンズ》つったって、ふつうに話せばふつうに答えてくれたぜ。ちょろいもんよ」
 青年が自慢げにそう言うのが聞こえたのだったが、正直、語尾が震えているのだけは隠せないようだった。おそらく相当に緊張していたに違いない。
「で? で? 伝説の聖騎士サマはお前になんて声かけてくれたんだよ!?」
「サインでももらっときゃよかったのによーッ! ああ〜っもうっ! 今日ほどお前みたいなバカに生まれればよかったと思ったことはないぜ!」
 レオンハルトがまだ青年の背中をじっと見つめていることに気がつかない彼らは、青年を囲んで大騒ぎだ。
 レオンハルトはため息をつき、そのあとは聞くまいと足を速めた。「伝説の」だとか「英雄」だとかいう言葉に辟易していたのもあったし、あてつけや売名行為が目的で近づいてくる輩も後を絶たない。いまの青年に悪気はないのだろうが、ある種の肝試しのように自分に話しかけてくる若い連中をかわすのも、いい加減疲れてきていたところだった。
 汎大陸戦争を終結させたのは自分ひとりの力だけではない、聖賢五大守護神《ファイブ・ガーディアンズ》や救世主のみならず、大陸に生きるさまざまな人々の働きかけがあってこそ。
──なりたくて英雄になったわけではない。戦って英雄になれるのは、戦時下の大混乱の中だけだ。剣を振るうということの本質を、流れる血の重さを、それを経験したことのない人間には理解できないのだ──。
 これから式典の準備をしようと人々が忙しく働き回る庭園を見ながら、レオンハルトは再びため息をついた。五月のオレリア・ルアーノは、雲ひとつない蒼天が広がっているというのに、暗い自虐心が渦巻く自分の精神状態のなんとよどんでいることか。
 レオンハルトは大きく息を吸い込み、気持ちを切り替えることに専念した。そして、心の中にいたずら心が芽生えてきていたのを自分に許した。明日の公開試合では、あの若いアジェンタス騎士団の連中に、少しばかり肝を潰してもらおう。ふつうの人間がよくやる「仕返し」というにはあまりにも子どもっぽいが、それくらいなら失われた神々も救世主も、自分を責めることはないだろうと思い立った。



 御前試合の会場に三度目のどよめきが起こったのは、その直後だった。
 最初のどよめきは、御前試合開催直後にレオンハルトが登場したとき、二度目は、伝説に名高い聖剣エクスカリバーが、見事な装飾の施された鞘から抜かれたとき。この御前試合の観客のほとんどが、レオンハルトと彼の持つエクスカリバーを見るのが目的であったので、そのどよめきももっともなことではあった。だが、三度目は想像だにしなかったできごとに対するうめきに近いものであった。
 さきほどからレオンハルトの相手をしていた無名の青年が、レオンハルトの剣をかわした直後、一瞬だけかの聖騎士を不利な体勢に追い込んだのだ。予想外の展開に、観客席からどよめき声が一斉にあがる。
 もちろんレオンハルトが即座に体勢を立て直したので、観客たちの安堵のため息がさざなみのように広がったのだが、青年剣士の勝ち誇ったような表情とは対照的に、あのレオンハルトが柄にもなくイラついているように見えるので、剣に覚えのある一部の観客がハラハラしている。
 実際にレオンハルトはイラつき始めていた。このアジェンタス騎士団の若者が左利きであることや、彼が扱っているのが自分のエクスカリバーよりもずっと細くてリーチの長い異国風の剣であることなどは、レオンハルトの技量からすればほんの些末な心配事であった。そんなことよりも、最初の一撃で軽く相手の気絶を誘おうと思ったのに、この長引きようにイライラさせられ、剣を交えているときに青年が見せる挑発的な笑みが神経を逆なでする。
 いい男というには少し魅力が足りないが、人を挑発しがちなキツい瞳と明るく柔らかい金髪の大差が印象的な青年だ。また、思ったよりも身体と筋肉の均整が取れていて、理想の剣士体型ともいえる。この青年が、伝説の聖騎士に恥知らずにも挑戦した「ただのバカ」でないことは、誰にも最初の一撃で十分理解できたことだった。まだ隙だらけではあるが、彼の振るう剣の舞うような軌跡を見れば、この青年の剣技が同世代の若者たちの水準をはるかに上回ることが分かる。そしてさらに、攻撃をしかけてもひらりとかわすすばしっこさと反撃のしつこさが、少しだけ脅かしてやろうというレオンハルトの読みを大きく裏切っていた。もちろん、観客は無名の青年剣士と伝説の聖騎士の切り結ぶ様に沸きあがるばかりだ。
 レオンハルトは剣を引き、いったんエクスカリバーを握り直した。見事な装飾を施された伝説の聖剣は、レオンハルトの手の中でまるで生き物のようにくるりと踊り、好敵手を見つけた喜びに打ち震えるかのごとく闘気を吹き上げる。対する青年も身を引いて、左利きの手に握られた細身の異国風の剣を回した。ギラリと鋭利なか片刃を持つその剣は、五月のやわらかい日差しを受けて美しい円を描き、青年の手の甲を滑った。最高の挑発だ。
 レオンハルトは少しだけ間合いを詰めてエクスカリバーを振りかぶる。一気にケリをつけるつもりだった。その気配を感じたのか、青年も同じく剣を振りかぶり、勝負に出る。レオンハルトの懐に入って動きを封じるつもりなのだ。そのほんの刹那の時間差、レオンハルトは自分がわずかながらにリードしていることを確信し、懐に飛び込んで剣を握り直す青年の顔を見やった。
 だが。青年の口元に浮かぶのは勝ち誇ったような不敵な笑み。レオンハルトは不快感に眉をひそめ、その瞬間にエクスカリバーを握る手に力を込める。ほんのわずかな心の揺らぎに失敗を感じたレオンハルトが、心の中で舌打ちをするが後の祭りだった。
 昂った感情にはじき出された術法はエクスカリバーの刃に伝わり、白い稲光をまとった凶器となって青年の頭上に襲いかかる。術法を載せたエクスカリバーが薙ぎ払われるのと同時に、青年の身体は大きく吹き飛び、祭司長や中央諸世界連合の高官たちの並ぶ貴賓席に突っ込んでいた。直後、観客席から割れるような歓声があがった。
「双方そこまで!」
 審判の声にレオンハルトは我に返る。貴賓席に突っ込んだ青年が周囲の人間に抱えられ、起き上がるのが見えた。安堵のため息をつき、乱れた金の巻き毛を掻きあげたのだったが、そのとき、やっとこ起き上がって剣を鞘にしまう青年の瞳とかち合った。いや、自分を見つめる青年剣士のアイスブルーの瞳に釘付けになったと言っても過言ではなかった。
──術法を使うなんて、卑怯なマネしやがって。
 青年の目がそう自分を叱責しているように見えて、レオンハルトは身体をこわばらせた。割れんばかりの拍手と歓声の中、レオンハルトはエクスカリバーを鞘にしまう気になれず、金髪の青年が退場していくその後ろ姿を呆然と見送るだけだった。



 公開試合では術法の使用を禁止しているわけではない。むしろ伝説の聖騎士が術法を使うことがあるのなら絶対に見たいと、観客のすべてが思っていたに違いない。だが、レオンハルトは日常生活はもちろん、戦闘時にも術法を使わないように心掛けていたし、いまの青年との立ち回りでも術法を使う気などさらさらなかったのだ。
 ふとした感情の昂りで、大人げなくも術法を暴発寸前のところまで発動させてしまうなんて。レオンハルトは翡翠の大聖堂の廊下を歩きながら、自己嫌悪にまみれた長いため息を吐き出した。強敵だというほど、あの金髪の青年が強かったわけではない。何度攻撃してもそれをかわし、立ち向かってくるそのしつこさに根負けしたのか。それとも──。
 あの負けることを知らない、負けるなどあり得ないと自負する生意気な青い瞳に当てられたのか──。
「らしくもない。伝説の聖騎士殿がとっさに術法を暴発させるなど」
 柱の影から声をかけられ顔を上げれば、金の糸で彩られた見事な鳳凰の刺繍と、純白の長いローブ。金の鳳凰は聖救世使教会の紋章だ。レオンハルトは声の主を認めると、眉根を寄せて不快感を表した。
「相変わらず露骨に嫌な顔をする」
 男はレオンハルトの態度にめげるどころか愉快そうにのどを鳴らした。
「二百年も昔から分かりきっていることだろう。祭司長殿。嫌われているのにしつこくつきまとうその神経のほうが理解できぬが」
「手厳しいのも相変わらずだな」
 聖救世使教会の司祭長は若者のように肩を大きく揺すって笑った後、顔半分を隠すケープの裾を引っ張って、銀色の髪がはみ出してきていたのを顔が見えないように整える。
「そなたが出席してくれたことで聖騎士団の日頃の働きを大いにアピールできた。感謝する」
「好きで出場したわけではないがな。いい加減見せ物にされるのにも嫌気が差してきているのだが」
「今日の青年のように、そなたと剣を交じえたがっている若者に夢を与えるのも仕事のひとつであろうが」
「そんなものは広報部か聖騎士団長にまかせておけばいい。もはや私の出る幕でもなかろうに」
 祭司長に言われてさきほどの青年のことを思い出し、レオンハルトの眉間のしわがさらに深くなった。さきほどの失態、あの小生意気な目を思い出すだけで神経が昂る。
「そういえばさきほどの金髪の青年は」祭司長はもったいぶったように言葉をいったん区切り、レオンハルトの表情の変化を楽しんでいるようだった。
「大事はないそうだ。貴賓席に突っ込んだときあちこちをほんの少々擦りむいたらしいが。伝説の聖騎士の雷撃で黒こげにならずにすんだだけでも幸いといったところだろう」
 そうか、と祭司長の嫌みを無視してレオンハルトは軽く目を伏せ、頷いた。が、再び瞳を開いたその先の人影に目を見張る。
「ほう。噂をすれば。私とそなたが立ち話というのも怪しまれる。私はここで失礼するとしよう」
 祭司長は意味ありげに唇をゆがめてそう言うと、柱の影に隠れるように身体を翻した。教会の紋章入りの白いローブが揺れるのを横目で見ながら、レオンハルトは視線の先に立つ金髪の青年の姿に身構えた。
 青年は顔に絆創膏を貼ってもらい、擦り傷だらけだったが、祭司長がいうように本当に身体にたいした異常はないようだった。戦闘服からアジェンタス騎士団の制服に着替え、まっすぐにレオンハルトを見つめている。アイスブルーの瞳がまた叱責しにやってきたのかと思うほど、レオンハルトに鋭く突き刺さっているようだった。その瞳に押しつぶされそうになる。
「さきほどはすまない。術法を使うつもりなどなかった。つい……」
 先に口を開いたのはレオンハルトのほうだった。我ながらいいわけがましい台詞だとは思ったのだが、青年に誠意を見せておきたいという気になったのだった。たかが若造のひとりやふたりに何を動揺しているのだと自分に言い聞かせてはいたのだが。
「お気になさらず」
 青年はそう言うと、急ににっこり笑いかけた。レオンハルトが驚いたのも無理はない。さきほど手合わせしたときからは考えられないような、人なつこそうなほほえみが返ってきたのだから。
「手合わせできて光栄です。やっぱあんたはすげえや。あんたのこと怒らせようとか焦らせようとか思って、すんごくいやーな試合をやってみたんだけど。あんた最後まで冷静だったもんな」
 青年は金髪の前髪をかきあげ、ため息をついた。
 冷静だった、だと? レオンハルトの表情がこわばる。あれのどこが冷静だったんだというんだ。本気で言っているのか、それともわざとあてつけにそう言っているのか。本当の「ただのバカ」なのか、なにか下心があってつきまとおうとしているのか。
「やっぱさ、伝説の聖騎士だなって感じ。あんたの弱点ってなにかな。なーんて聞いちゃったりして。うはは!」
 人なつこそうに笑う、幼い顔した青年剣士の表情だけでは伺い知れないものがあるのか。そんな不安が、レオンハルトの中ではさきほどの試合のときに感じたイラつきに変わりはじめていた。
「あ、やっぱりあんたの弱点ってあれかな。救世主《メシア》でしょ? 伝説の聖騎士は救世主のなきがらをどこかに隠しているってもっぱらの噂だもんな」
 その次の瞬間、レオンハルトは青年の胸ぐらをつかんで壁に押し付けていた。
「……二度とそれを口にするな。分かったな」
 グイと壁に押し当てられ、青年は顔を苦しげに顔を歪ませた。のど仏を押さえつけられて声が出ないかわりに、青年は目と首を動かして同意を表明した。レオンハルトは青年の胸元から手を離し、なにごともなかったかのようにマントを払ってその場を立ち去ろうと背を向ける。
「ふう……。偉大なる一族《イーシュ・ラミナ》が好戦的だってウワサ、ようやく信じる気になったよ。あんた、意外に血の気が多いんだな」
 レオンハルトは足を止め、ゲホゲホと咳き込みながら涙声でそう言う青年を睨みつけた。青年はそんな冷たい視線にはおかまいなしといった様子でもう一度せき払いをすると、
「ごめん。ベラベラ余計なことしゃべっちゃうのは俺の悪いクセでね。言い過ぎたのは謝るよ。俺、あんたにすっごく憧れてたんだ。あんたみたいな聖騎士になりたくてめちゃくちゃ憧れてんだけど、俺らにとっちゃ雲の上の人って感じだろ。悪いなと思ったけど、昨日みたいにああいう肝試しがしたくなっちゃうわけ。一言でもいいからお話したい!なんてね。ま、あんたは昨日の俺のことなんざ覚えてないと思うけど」
 忘れるはずもない、と言おうとしたのだが、レオンハルトは珍しくこうした「肝試し」にやってくる青年の顔を覚えていようと思った自分がいることに気付いた。印象的なアイスブルーの瞳のせいだけではない。
「なんだか、あんたもふつうに怒ったりするんだなぁって思ったら、親近感わいちゃったよ。あんた、いっつも冷徹な鉄面皮って感じで、表情ひとつ変えないじゃんか。なんか、同じ人間なんだって思ったらすっごくうれしかったりして」
 悪びれた様子もなく、無邪気に笑う青年を見て毒気を抜かれたレオンハルトは、大きな大きなため息をついた。
 同じ人間──。なぜかそういうふうに言われたのがうれしく感じた。
 試合後の睨むような視線も、取越し苦労に過ぎなかったというわけか。戦闘の直前直後に剣士がピリピリすることをすっかり失念していた。ただのバカ半分、もう半分はお人好しといったところか。レオンハルトは青年に対する己の感情の不安定さが滑稽に思えてきて、思わず笑みをこぼした。それを見た青年のアイスブルーの瞳が、安心したように細められた。
「いくつだ。アジェンタス騎士団領の騎士見習いだろう」
「見習いなんかじゃない。正当な騎士団員だよ。当年とって二十二歳」
 思わずレオンハルトは目を見開いた。二十二とは。十七、八くらいの、まだ少年から抜け出ていないくらいの年だと思っていたのに。
「名は」
「ダノル」
 レオンハルトは青年の名を聞いて心の中で頷いた。確か辺境のどこかで「継承」を意味する言葉がそういう響きを持っていたはずだと、漠然と思い出す。そして、レオンハルトはさきほどまで自分がなにに対して憤っていたのかをようやく理解したような気がした。
 そらされることのないまっすぐなアイスブルーの瞳。それが過剰なまでに人に影響を与えようとする。彼自身の中のなにかを、周囲の人間に継承させようと働きかける青年の態度が、年経た自分には刺激が強すぎただけなのだ──と。
「なあ、もうちょっとあんたと話がしたいんだけど。あんたこれからどこに行く?」
「どこへも。帰るだけだ」
「ついてっていい?」
 レオンハルトは青年の顔を振り返り、肩をすくめて見せた。青年の過剰な人なつこさも、もう自分をイライラさせるようなものではなくなってきていた。むしろ、もう少しこのダノルという金髪の青年と話をしてみてもいいと思った。
「好きにするがいい」
 青年は子犬のように喜んで飛び上がると、黄金の聖騎士の左隣に並び、歩幅の大きなレオンハルトに遅れをとらないように大股で歩きはじめた。

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