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「神々の黄昏」をお読みいただき、誠にありがとうございます。また、「番外編:遠征〜Red Moon Calls Insanity〜」を読了いただきまして、ありがとうございました。
大長編SFファンタジー「神々の黄昏」はいかがでしたでしょうか。ぜひお読みになったご感想やご意見をお送りください。だらしのない管理人ですが、それだけで更新と執筆の励みになります。
さて、「番外編:遠征〜Red Moon Calls Insanity〜」はいかがでしたか? 滅多にやらない一人称での、しかも脇役による視点だったので、私の書くものの中ではかなりの異色作といえます。しかも、しかもかなりあっちの世界に足を踏み入れている作者の沸騰した脳みそ加減がうかがえる、ボーイズラブ風味に仕上がっているのが特徴です(笑)。苦手な方には申し訳ないのですが、そんなによこしまなものではない、レトの微妙な心の動きをお楽しみいただければと思います。
もともとこの話は、とあるサイトマスター様による裏企画のお題からできあがったものです。お題とはずばり、「ケガ」「手当」「流血」。ケガと手当こそ男のロマンだと豪語してやまない私にはうってつけのテーマです。拙作にてケガの似合う男といえばセテですので、セテをじっくりたっぷりねぶるように痛めつけようと決心したのですが、セテがケガをすると話が進まないので、同僚のレト視点の一人称で書いてみようと思いました。数年前に書いたもののオリジナルタイトルは「遠征」だけだったのですが、後半少し理性のタガがはずれてしまったレトに何か理由がないと、年中発情してそうな印象を与えて申し訳ないと思ったので、赤い月を元凶とすべく、「Red Moon Calls Insanity」という副題をつけました。えーと、元ネタご存じの方がいらっしゃったらぜひお友達になりましょう。むかーし、私が高校生の頃に大好きだったとあるバンドの曲名です。
さて、お題が自分好みだったというのもあったのですが、この作品ではふだんあまり書けなかった騎士団内でのモンスター退治を書いてみました。生身の人間をぶったぎるよりも、こうしたモンスター退治が多い彼らのふだんの任務が書けて楽しかったです。とくに、四面楚歌、満身創痍の中で戦い続ける彼らが書けたのは、戦闘シーン好きな私としてはかなり大満足であります(できはさておき)。序盤でセテが大けがを負い、籠城することになった彼らの焦りがうまく表現できているといいのですが。
「そりゃ出血多量で死んじゃうだろ」なセテの治療の場面では、できるだけ痛そうに書いたつもりです。実際にいろいろケガをした友人に話を聞いて痛いネタを仕入れ脚色したのですが、顔がパンパンに腫れ上がってしまったというのは本当の話。えらい酒飲みの女の子だったのですが、腹を切るというのに麻酔が効かず、看護士さんに「先生! 痛がってます!」と言われているのに先生がかまわず切開したのだとか。その痛みに歯を食いしばってこらえていたら、術後には本当に顔が腫れ上がってたいへんだったと聞きました。自分がそんなになってしまったら絶対にいやですが、こうしたネタを物書きの種にしてしまうのは悲しいサガですね。
そして後半は乙女のドリー夢全開です。動けないセテの顔を見て「こいつ睫毛なげーな」とかレトが思ったかどうかは分かりませんが、無精ひげもそんなに生えないセテの顔を見てちょっぴりヘンな気分になってしまうレトの微妙な心の動きといいますか、そのへんはたいへん難しかったのですが、なんとか見られるものに仕上がってますでしょうか。本編でも少しだけセテに対して妙な下心を感じていたレト、彼をネタにすれば今後もいろいろ楽しいパロディやパラレル番外編は書けそうです(いや、公表してないだけでいろいろ書きためてはいるんですけれどもね)。
ベロチューなくても、こうしたふたりのやりとりが書けたのはすごくうれしかったです。セテとレトは本編では悲しい結末を迎えてしまうので、「挿話:遙かなる憧憬」の延長として読んでいただけるとありがたいですね。
それでは、引き続き本編をお楽しみください。